○○は、28mm。



撮像素子 1/2.5型 有効600万画素CCD
静止画時最大記録解像度 2816×2112px
動画時最大品質 848×480px(16:9) / 30fps
レンズ 28-102mm相当 / F2.8-5.6 LEICA DC VARIO-ELMARIT銘 3.6倍ズームレンズ
マクロ時最短WD W端 5cm 〜 T端 30cm
ISO感度 80〜400相当(高感度モード時800〜1600相当まで)
測光 インテリジェント評価測光
測光タイプ 評価測光のみ
露出制御 かんたん / 通常撮影 / シーン(全16種)
露出補正 ±2.0EV / 0.3EVステップ(かんたんモード時は逆光補正
AEB ±0.3〜1.0EVステップ、計3枚
ホワイトバランス オート / プリセット3種 / マニュアルセット
WB調整 ±10ステップ
内蔵フラッシュ到達距離 ISO AUTO時 ワイド端で4.0mまで到達
液晶 2.5型 20.7万画素 低温ポリシリコンTFT液晶
液晶モード パワーLCD機能、ハイアングルモードあり
光学ファインダ なし
入出力 USB2.0(HighSpeed) / ビデオ出力 / DC入力
電源 専用リチウムイオン(3.7V 1150mAh) / ACアダプタ(別売)
寸法 94.1×51.1×24.2mm
重量 約160g(メモリーカード・バッテリ含む)

 Panasonic LUMIXにおけるメインストリームシリーズであり、コンパクトなボディに大きい液晶と手ぶれ補正機構を搭載して人気を博したFXシリーズの2006年春モデル。28mmスタートで100mm超までの画角を有する3.6倍ズームレンズを搭載したことが最も大きな特徴だ。また、2005年冬モデルから搭載されたISO800以上の高感度モードも搭載し、暗所対応性能を高めている。
 M.D.B.において、ある条件下で撮影する際に必要となり購入。もともと小型軽量+28mm+手ぶれ補正という組み合わせと、LUMIX FXシリーズには興味があったので。使用した感触ではなかなかに使いやすいデジカメと感じた。ただし、画質には期待しない方がよい。
 2006年3月19日 ソフマップ梅田店にて購入。46,800円。
 
■ボディ
 メインストリーム系のコンパクトなので、それなりにマテリアル性は確保されている。ボタンやモードダイヤルはカッチリしているが押しにくいほど硬いわけでもなく、ちょうどいい。つやけしブラックの塗装も指紋が目立ちにくい。
 インターフェース類のカバー部の質感も、他機種であればまっさきにコストダウンの対象となりおろそかにされがちな部分だが、これもきちんと作り込んでいる。閉じる時に「パチン」と音がなるのが小気味よい。
 IXY DIGITALのような高級感の演出は少ないが、意外にしっかりした作りである事に後から気づかされるタイプだ。

 
■レンズ
 前述の通り28mm相当からスタートする3.6倍ズームレンズ。銘は「ライカ DC バリオ・エルマリート」。F値はワイド端F2.8と昨今のデジカメとしては明るい。ただしテレ端はF5.6と暗く、せっかくの手ぶれ補正機構をスポイルしているのが残念だ。実際よくブレる。
 なお、記録画素数を600万画素以外に設定すると最長140mm相当までズームできる「EXズーム」が使用可能になる。これは一見単なるトリミングに思えるものだが、実際は3.6倍域を超えてもズーム駆動音が鳴っているため、単純なトリミングだけとは思いにくい。
 マクロはワイド端5cm、テレ端30cmと平凡。ただ、ワイドマクロが使用できるという点においては十分なスペックと言えるだろう。
 
■画質
 もはや「極小画素」という言葉も風化して久しいが、本機は1/2.5型600万画素CCDを使用している為、あまり画質は良いとは言えない。松下はFZ初期の頃からノイジーな画質で、それが解像感を高める結果にもなっていたのだが、最近は無理にノイズを押さえ込もうとして失敗しているように思える。特に暗部ノイズが簡単に発生し、しかもその出方がディティールを潰してしまうタイプなので、個人的には好きになれない。白飛び・黒つぶれはそれなりに発生するが、露出アルゴリズムが結構優秀なので目立ちにくい。
 発色はまぁいつもの松下発色で、地味と言えば地味。全体的に彩度が足りていない気がするが、まぁこんなものだろう。なお、画質調整で「ヴィヴィッド」を選択すると彩度が強調されるようだが、同時にシャープネスも強調されるのであまりオススメはしたくない(もちろん等倍鑑賞派のみにだが)。
 ISO感度上昇にともなうノイズは、ISO80〜200までは緩やかに多くなるが、ISO400になるといきなり増加する。つまりISO200までならそれほど大差ははない。それなりに多画素なので、縮小前提であればISO200まで使っても問題は少ないだろう*1。ISO800以上の高感度モードは画素混合によるもののため、全く期待しなくていい。無いよりはマシ程度のものだ。露出の面から見た暗所対応性能はあまり高くない。
 CCDに起因する画質はそれほど良くない、というのが現時点での印象。
 対してレンズは優秀だ。比較的高倍率なワイドレンズにもかかわらず周辺の流れは少ない。もちろん全く皆無というわけではなく、実際周辺の解像度は下がるのだが、たとえば初期のCanon PowerShot S60/70のような周辺の露骨な流れは全く見られない。よく押さえ込んだと言える。ただ、ズーム倍率3倍を超えるレンズとしては不自然なくらい歪曲収差が少ないので、画像処理段階で補正している可能性がある。周辺の解像度低下はその影響かもしれない。
 逆光耐性はさすがライカ銘を名乗るだけあって、コンパクトデジカメとしてはかなり優秀。ゴーストは簡単に出るが、フレアは少ない。かなり意地悪なシチュエーションでも発生は最小限だ。またパープルフリンジの発生率も低い。
 
■操作性
 操作性は歴代LUMIXを使用していればすぐに理解でき、相変わらず使いやすい。
 十字キー[↑]で露出補正が出る、というのは松下伝統のインターフェース。さらにトグルでAEB、またプリセットホワイトバランスを使用している場合はホワイトバランス補正が出る。特にAEBはラティチュードの狭いコンパクトデジカメでは有用な為、積極的に使っていきたい。ちなみにAEB時は3fpsの模様で、十分なスピードを持っている(SDは金パナ512MB使用)。ただ、これらの機能を使用する際は画面上下に帯ができるようなインターフェースになるため、ライブビュー映像が見にくい。ここは改善していただきたいところだ。
 十字キー[←]でセルフタイマー。これも歴代LUMIXと同様2秒と10秒から選べる。[↓]は簡易レックビュー、[→]はフラッシュモード。十字キーの右下に連写ボタンが、左下にはDISPLAYボタンがある(後述)。
 メニューは相変わらずライブビュー映像無しのタイプ。動作がキビキビしており、半押しで戻るので運用上の問題は少ないのだが、やはりライブビューがないと落ち着かない。

 
■背面液晶
 2.5型20.7万画素と画素数は十分だが、視野角が狭くあまり見やすい液晶とは言えない。FinePix F11と同様、もう少しまともな液晶*2を搭載してほしいところだ。
 DISPLAYはトグルで画面上の情報を「情報なし」「情報あり」「情報+リアルタイムヒストグラム」「情報なし+3分割罫線」に切り替えられる。個人的には「情報あり+3分割罫線」が欲しいところだ*3
 また長押しでLCDモードに入ることができ、晴天屋外で運用しやすい「パワーLCDモード」や、ハイアングル時の視野角を確保する「ハイアングルモード」に切り替えることができる。特にハイアングルモードは液晶の配光特性を変更して実現した機能だが、これをローアングルにも対応してほしかった。特にレンズが広角なので、ローアングルでの撮影を楽しみたい。
 
■撮影性能
 前述の通り露出アルゴリズムは優秀な部類に入る。ただし測光が評価測光だけに限られる為、逆光時は露出補正か日中シンクロで対応していく事になる。なお、フルオート(かんたんモード)時は[↑]で簡単に逆光補正できる。これはフィルムのコンパクトカメラを使ってきた方にも受け入れられやすいだろう。
 AFのヒット率は悪くなく、高速。合わないときはちゃんと「合わない」と示してくれる(合焦判定精度が高い)。手持ちではLUMIX FZ2の頃から最も進化した部分ではないだろうか。
 ホワイトバランスは相変わらずプリセットの数が少なく*4、また蛍光灯のポジションが無い。オートでのヒット率は結構高く、同じシーンで構図によって変化すると言うことが少ない。信頼できるほうだ。ただ過信せず、余裕があるならホワイトバランス採取を使うのがいいだろう。
 フラッシュはまだあまり使用していないが、ワイドレンズを使用している割には配光が良く周辺での落ち込みが少ない(画像処理で補正しているのかもしれないが)。まぁ普通に使えると見てよいだろう。
 
■挙動
 起動・終了・レリーズタイムラグ・撮影間隔・メニューの応答、いずれも優秀。初回再生時にもたつくくらいだが、DiMAGE X1のようなマイペースさは無い。AFもマクロ時や低照度時を除いて十分な速度だ。
 
■バッテリ
 LUMIX FX8から大容量化した電池だが、これは確かによく持つ。CIPA準拠の公称値では320枚。FinePix F11ほどではないが、まぁ十分な数値だろう。ただAEBがしやすいので、つい調子に乗って枚数が増えてしまう。
 ちなみに初回充電から200枚ほど撮影した段階で、電池インジケータは1目盛り減っただけ。ただし、短時間で多くの枚数をこなすと一気に2目盛り減る。
【追記】200枚目まではかなりブラケットを多用したが、その後いつもの「適宜露出補正しながらの1ショット」の撮影方法に戻したところ、251枚目で残量ゼロ警告が出た。経験上FinePix F11の2/3程度*5だが、これだけもてば十分だろう。またこのレビューを書くために起動→少しいじって終了を繰り返したので、実際の運用ではもっともつと思われる。
 
■総合
 とうとうリコー以外のメーカーがワイドレンズを搭載した、ということで発表当時注目を浴びた機種だが、画質の面ではまぁこんなもんだろうという感じ。画角にこだわらなければ他に良いデジカメはいくらでもある。それこそほぼ同時に手に入れたPowerShot A610のほうが優秀な画質だ。ただ、この画角を実現し、かつポケットに入るサイズのコンパクトデジカメは、今のところCaplioLUMIXしかないのだ*6
 また定評のある操作性や速度、手ぶれ補正など、見るべき点はいくらでもある。個人的には「そこそこ気に入った」というのが正直な感想だ。
 
■テストデータ
※リンク先は全て600万画素フルサイズの画像です。ファイルサイズは2〜3MBほどありますのでブラウザで開く場合はご注意下さい。
※またサーバの転送制限の関係上、予告無く公開を停止する場合があります。あらかじめご了承下さい。

 ISO 80
 ISO 100
 ISO 200
 ISO 400
 ISO 1600
※高感度モード。このモードの場合、ISO感度は自分で設定できないため、ISO 800では撮影できていない。
 

  • 画質モード

 標準
 ヴィヴィッド
 ナチュラ
 

  • 作例


1/640s / F5.6 / ISO 80 / -1.0EV / プログラムAE / AWB / f=4.60mm(28.0mm相当)
フルオート系の多分に漏れず、屋外での露出は-0.7EV程度が基本となる。ここではさらに-1.0EVまでアンダーにして空の色を出した。


1/400s / F5.6 / ISO 80 / -0.7EV / プログラムAE / AWB / f=4.60mm(28.0mm相当)
逆光耐性はかなりいい。この条件でもわずかなフレアでおさまっている。ただこういったローアングル撮影時は、やはり液晶の視野角が狭いのが気になる。


1/400s / F5.6 / ISO 80 / -0.7EV / プログラムAE / AWB / f=4.60mm(28.0mm相当)
とはいえ、さすがに条件によっては放射状のフレアやゴーストが発生する。しかしコンパクトデジカメとしては十分だろう。こういう被写体を撮るときに28mmあるのが嬉しい。


1/60s / F3.6 / ISO 80 / ±0.0EV / プログラムAE / AWB / f=8.10mm(49.0mm相当)
このデジカメはズーム速度が遅いのだが、その分ステップ数が多く*7画角調整が細かくやれる。ハービスエントのティファニー店舗を撮影してみたが、この手の被写体なのに補正無しで適正露出だ。

 

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*1:ちなみにISO AUTO時は最高ISO200までゲインアップする。

*2:液晶品質にこだわっているオリンパスソニーニコンあたり。

*3:手持ちではFinePix F11やPowerShot A610、C-70Zoomにも搭載されている。「世はなべて1/3」にこだわりすぎるのもアレだが、やはりあるのとないのとでは違う。

*4:太陽光・曇天・電球のみ。

*5:FinePix F11ではおよそ400枚強で残量ゼロ警告が出た

*6:もちろんEasyShare V570もあるのだが、あれはパンフォーカスだし……。

*7:確認した限りでは19ステップ。ちなみにFinePix F11で7ステップ、PowerShot A610で8ステップ、IXY DIGITAL 50で6ステップ。