被写界深度と絞り*1


OLYMPUS C-730UltraZoom / 1/3s / F3.2 / ±0EV / 9.7mm (約 60mm 相当) / ISO 100 / AWB / 分割測光 / 絞り優先 AE
 絞り開放での撮影。C-730UltraZoom ではスーパーマクロモードにすると焦点距離 60mm 相当のところまでズームして固定されるため、開放で F3.2 となります。
 んで、これを絞ると次のように写ります。

OLYMPUS C-730UltraZoom / 2.50s / F8.0 / ±0EV / 9.7mm (約 60mm 相当) / ISO 100 / AWB / 分割測光 / 絞り優先 AE
 F8.0 まで絞った以外は同じ条件です*1。ピント位置もマニュアルフォーカスで固定しています。
 最初の作例では背景が綺麗にボケていましたが、次の作例では後ろの iMac がかなりハッキリ写っていますよね。
 写真用語に「被写界深度」というのがあります。これはピントの深さのことで、ピントをあわせた箇所から前後にいくらかピントの許容範囲を指します。
 たとえば最初の作例ではジョーの目にピントを合わせたつもりだったんですが、実際にはもうちょっと手前にピント位置が来ています*2。これは被写界深度が薄いため、ちょっとでもズレるとすぐピンボケになっちゃうという事の典型例です。
 ところが後の作例ではジョーのほぼ全体にピントが合っています。これは絞りを F8.0 に絞った結果、被写界深度が深くなった為です。
 被写界深度はいくつかの要因で薄くなったり深くなったりします。その一つに絞りの効果があります。絞りを絞ると被写界深度が深くなり、逆に絞りを開放すると薄くなります。
 他に被写界深度が変わる要因には以下のものがあります。

撮影距離
:被写体との距離のこと。近ければ近いほど被写界深度は薄くなり、逆に遠ければ厚くなる。ある程度以上離れると被写体より後ろの被写界深度は無限になり、全てにピントが合った状態になる。
焦点距離
:焦点距離が長くなる(=望遠になる)と被写界深度は薄くなり、焦点距離が短くなる(=広角になる)と逆に厚くなる。

 つまり、絞りを開放し、できるだけズームしてマクロ撮影を行えば被写界深度は薄くなるということになります。
 実はもう一つ被写界深度に大きく関係する要因があります。

受像面積
:これは CCD の大きさの事。面積が大きければ大きいほど被写界深度は薄くなり、小さくなればなるほど厚くなります。

 つまり「受像面積の小さいコンパクトデジカメでは被写界深度が深い為マクロ撮影はやりやすいが、コンパクトデジカメより遙かに受像面積の大きいデジタル一眼レフでは被写界深度が非常に薄くなるためマクロ撮影は難しくなるという事です。
 これを回避するためには絞りを絞る必要があります。通常コンパクトデジカメの絞りはもともとの被写界深度が深いため F8.0 が限界ですが、一眼レフでのマクロの世界だとF22 とかいう数字が平気で出てきます。少なくとも絞り優先 AE が扱えないと話になりませんです。
 1/8 コメント欄id:carrion-crow さんが言っておられた、

マクロはコンパクトデジの方が簡単だと思います。同じ画角で被写界深度がすごく深くなりますから。

 のちょっとした解説でした。

 

*1:レフ板の位置が違うので光源方向は若干違いますが。

*2:こういうのを「前ピン」と言います。逆にピント位置が後ろに行ってしまうのが「後ピン」。