デジタル一眼レフ――ユーザーの裾野を広げるのはやはりキヤノンか?

 コンパクトデジカメの話になりますが、今市場に出ているデジカメで最も安心して薦められるデジカメを挙げろといわれれば、俺は迷う事なく IXY DIGITAL 400 を選びます。こと「とりあえず半押しさえ知っていればキッチリした写真が撮れる」という事に関して Canon のデジカメに絶大な信頼を置いているからです。IXY を選んだのは万人に薦めるという点で フルオートコンパクトである IXY が一番無難だから。あと心情的には OLYMPUS のカメラをオススメしたいところなんですが、OLYMPUS のオートホワイトバランスはまだちょっと迷う傾向にあるので。
 ただ IXY DIGITAL 400 もマニアックなツッコミ方をすればいくらでも欠点が出てきます。マクロが弱い事、起動・終了・書き込み・フォーカスの各速度がそろそろ遅い部類に入ってきた事、あまり小さくない事、露出補正が操作第 2 層にある事、そもそも片手で露出補正が出来ない事、長時間起動で熱を帯びる事、シャッタースピード/絞り値が表示されない事、光学ファインダの造りがイマイチな事など。でもこれらはフツーの人がフツーに使う分には大した問題じゃないかと*1。それよりも DIGIC 以降の電池のもちのよさ*2、露出とオートホワイトバランスの安定度、画質、そういうカメラとしての土台がしっかりしている事がフツーの人に薦める為には重要なんだと思います。
 そういう意味では EOS KISS DIGITAL も「半押しさえ知っていれば安定して撮れるカメラ」で、万人向けとしては良いカメラなんだろうと思います。フツーの人は AEB でパカパカ撮らないだろうし、RAW 現像さえしないかもしれないし。ただやっぱり安いとはいえ 10 万以上出して買うカメラですから、ある程度のマニアックさが欲しい。世の中にはマニアな人が買うデジカメと、これからマニアになる人が買うデジカメと、マニアという言葉からは無縁な人が買うデジカメとがありますが、一眼レフを買う人はすべからく「マニアの人」もしくは「これからマニアになる人」であって欲しいと思うわけですよ。実際 EOS KISS DIGITAL でもちょっと設定すればマニアックな操作が可能なんだし*3。上の記事でも EOS KISS DIGITAL の RAW 編集ソフトに対して結局は「マニアックな使い方ができないじゃないか!」という事を言ってるわけですから。
 ただまぁ、そういう考え方ではシェア伸ばせないし、そもそも一眼レフというカテゴリ自体に人が増えないでしょう。多分カメラをあまり知らない人が E-1 や D1X を触ってもさっぱりわかんないだろうし、そういうカメラを「フツーの人」が買うことはまず無いでしょう。俺は最初に露出をレクチャーされて「カメラっておもろい!」と思った人間ですが、フルオートカメラで写真を撮っていくうちに「カメラっておもろい!」と思う人も多いでしょうから。
 そういう意味では、Canon のデジカメは「写真を撮る楽しさ」を得るために一番近道のカメラを用意しているんだと思います。

 

*1:熱問題は筐体素材が関係してくると思われます。オールメタルの X-2 や μ シリーズも結構熱を帯びるし。

*2:SONY のインフォリチウム機や RICOH +別売り専用電池、OLYMPUS 機の CR-V3 使用可能機のほうがはるかに長持ちしますが。IXY DIGITAL は最近の DIGIC になってでようやく一般的な使用で問題の無いでんちのもちになりました。

*3:スポット測光が無いので素っ頓狂な露出の楽しみ方はできませんが……。