もう黄昏時かよ、と。(画日記log)

「結局ユーザが欲しいのはこれまで同様、紙に印刷されててアルバムに貼り付けるサービス版」
て思惑が結構露骨に見えてるような…。

 デジカメに限らず、今の世の中ってパソコンを軸に考えると「バリバリ使える or 使おうとする意欲のある人」と、「全然使えない or 使えないこともないけど積極的に使おうと思わない人」とに別れているような気がします。
 んでデジカメの観点から考えると、前者はパソコンをつかってデジカメの写真を活用する方法を身につけやすく、blog借りてうpってみたり、メールで友達に送ってみたり、携帯の待ち受けにしてみたり、もしくは修行僧のようにひたすら撮ってはHDDに溜め込んでいたりするわけですよ。ただしメーカー的にはこういう「パソコンを軸にデジカメを使いこなせる人」を対象とした利益ってのは出しにくい。だって「デジカメを買った先の選択肢が多い」と言うことは、メーカーとしても「ユーザがどんな使い方をしようとしているのかわかんない」ってことですから、それだけ「メーカーからユーザに提供するべきサービス」が絞りにくいってことになるでしょうし。
 後者の場合、デジカメの利点である「気に入らなければ消せる」「好きな写真だけ印刷できる」「フィルム代がかからない」などは理解して利用することができると思うんですが、最終的な出力をどうするかといった事になると PictBridgeDPE に頼っている。プリンタの分野で強い Canon や hp とかは自社プリンタのほとんどを PictBridge に対応させてインク商売による利益獲得機会を広げているし、富士フイルムなんかはGacktに「撮ったら写真にしたい」とか言わせてみたりして DPE 利用機会を増やしている。
 というか、デジカメがこれだけ普及して値段が下がりまくっている以上、デジカメはボディ以外で利益を出す必要があるわけですよ。「デジカメ以外での利益」というととりあえず思いつくのはメモリーカードですが、かつて東芝がデジカメを作っていたのはスマートメディアを普及させる目的を含んでいたし、Panasonic は SD の盟主だし、OLYMPUS富士フイルムxD-Picture Card という新しい媒体を作って利益を確保しようとしていた。現状を見れば xD の普及は正直成功したとは言えず、こないだの値下げでさらにオプション品商売としての目的は薄れてしまっている。OLYMPUS としては別の消耗品商売を探す必要があったのかもしれません。ZUIKO DIGITAL レンズも E-300 が普及してくれないと売れないというのが現状だし。
 で、その結果 OLYMPUS が出したのは i:robe という「自社製品のみ・PCレスで完結するシステム」。一応 PC との連携も従来通りにできるようですが、それよりもプリンタを売りたいんでしょうね。昇華型プリンタって消耗品商売としちゃかなり利益上がりそうだし(紙とインクがワンセットになっている)。オリとしちゃ、「ウチの製品で撮った写真を CanonEPSON のプリンタや DPE で出力されちゃワリに合わない」ってことなのかも。
 要するにデジカメのボディやメモリーカードでは商売にならなくなってきたから、新しく消耗品商売を立ち上げなきゃならない。その旗印になるのが「印刷」というキーワードであり、昇華型プリンタで一定の評価を得ている OLYMPUS としてはこいつを全面的に出していきたいのではないかと。でもプリンタだけではアピールが足りないからシステムとしてアピールしていこうってことでしょうね。そう考えると、i:robe の奇抜な(奇抜だけと使いにくそうな)可動型液晶なんてのは単なる客寄せにすぎないのかもな、って妄想したりします。
 俺は何度か、これからデジカメ業界が収縮しないためにはノンPCユーザに対するアピールが必要だと言ってきましたが、これだけ割り切ったシステムを組んで、しかも「デジカメとプリンタとパソコン買うよりウチのシステムのほうが安いですよ」とノンPCユーザ(嫌PCユーザでも可)にアピールする必要が出てきたというのは、いよいよもってデジカメの市場の収縮が深刻になってきたと言うことなのかもしれません。
 もちろんこのシステム自体どうもAZ-1の連中が上をそそのかして作った臭」がぷんぷんするので、単に Kodak の考え方を拡張しただけかもしれませんが。だいたいフルセットで 10 万もするシステムは売れないって。これがキヤノンとかソニー*1とかがやったんならともかく、オリだし。

 

*1:ていうかこういうのってデザイン含めていつもならソニーがやるよね。