2007年まとめ。
てなわけで開店休業状態の当ブログですが、例年通り10大ニュース的にまとめていきたいと思います。今年も順位はなしで。
■顔認識デジカメが各社から登場、笑顔認識も■
当初Nikonが採用し、その後フォトラボの技術を転用することで精度と速度を実用レベルにまで高めたFinePix F31fdから火がついた顔認識ですが、今年に入ってから各社がどんどん追従しはじめました。最後発だったOLYMPUSもμ780やSP-560UZで対応し、すべてのデジカメメーカーで顔認識機能を装備する機種が発売されています。
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その中でもFUJIFILM・Canon・SONY・Panasonicは対応機種の投入当初から高い認識精度を誇っているわけですが、特にPanasonicはデジタル一眼レフで初めて顔認識AFを搭載*1しており、レンズに制限はあるもののデジタル一眼レフのライブビューとしては頭ひとつ抜け出た実用性をもっています。
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また、SONYの笑顔認識も注目したい基幹技術のひとつ。月宮さんのレビューにあるように非常に面白く興味深い技術です。実はOmronが今年9月に同様の技術を発表しており、SONYだけでなく他のデジカメメーカーや携帯電話メーカーからも笑顔認識をもつ機種が出てくることが予想*2されます。
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個人的に、顔認識を含む被写体認識はカメラの自動化としてAE・AFの次にくるパラダイムシフトだと思っています。不要なものと言われればそうかもしれませんが、カメラをよく知らない人でも確実に大事な写真が撮れるための技術向上は歓迎されるべきものだと思いますので、これからもぜひぜひ発展していって欲しいなと思います。
■中堅デジタル一眼レフが一斉にモデルチェンジ■
今年後半は、各社が怒濤の勢いで中堅クラスのデジタル一眼レフをモデルチェンジしていきました。マウント固定していないカメラファンにとっては、ボーナスシーズンにどれを買おうか迷いまくりの状態となったことでしょう。
まず各社に先駆け、8月末にCanon 40Dが登場。
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意外なことにキヤノンのラインアップとしては1,000万画素化が最後になってしまった機種ですが、6.5fpsの連写速度や全点クロスの9点AF、3.0型液晶、そして静音モードが使える*3ライブビューを装備。もちろんKissDXからのゴミ取りも実装し、非常に完成度の高いボディとなりました。それでいて、現時点でボディが12万を切る安価さもあって、発売後4ヶ月経ってもいまだに人気モデル。渡辺謙のCMも印象的。
次に11月16日にSONY α700が発売。
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KONICAMINOLTAからαを引き継いだSONYにとって最初の中級機となるα700ですが、ライブビューこそ備えていないものの、1,200万画素化、ボディ内の手ぶれ補正強化、自由度の高まったダイナミックレンジオプティマイザー、3.0型VGA液晶とそれを活用するクイックナビゲーション、そして評価の高い縦位置グリップなどなど、α7 DIGITALのリプレイス機として十分な進化を遂げた機種となりました。これでようやく、SONYが今まで出してきた高級レンズに見合うボディが登場したといったところでしょうか。それはE-3にも言えますがー。
そのE-3はあとで語るとして、Nikon D300。
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D200の後継機種としてみられる当該機種ですが、「DXフォーマットのフラッグシップ」という点で実はD2Xsのリプレイス機にあたります。1,230万画素化、縦位置グリップ併用による8fpsの高速連写、ようやく搭載されたゴミ取り、速度は遅いけどレンズを問わないコントラスト検出AFを搭載したライブビューの実装、そして全51点の測距点をフル活用する被写体追尾AFといったフィーチャーと、練りに練られた完成度の高いボディにより、非常に好調なセールス実績を残しまくりの機種となっています。D200が発売された時を思い出しますね。個人的にはライブビューよりも被写体追尾AFのスゴさに感心しています。これぜひ店頭で試してみてください。MINOLTA DiMAGE F100以来の衝撃ですよ。
なお、これらの機種のうち40D以外はすべてUDMA CFに対応しています(あとE-3、D3も)。AllAboutによると従来タイプのCFと比較して4倍以上の速度が出るらしいので、対応機種をご購入されたらあわせてゲットすることをオススメします。ていうか俺もExtreme IVの購入を検討中ー。
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■高級コンパクトが再燃■
RICOH GR DIGITAL発売以降、しばらく下火だった高級路線のコンパクト機の人気が出始めています。デジタル一眼レフの普及率が一段落した今、そのサブ機としてこういった高級コンパクトが注目されているようです。具体的にはRICOH Caplio GX100、Canon PowerShot G9、Nikon COOLPIX P5100、そしてRIOCH GR DIGITAL II。
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また、これらの機種のうちG9以外で1:1のスクウェアフォーマットが使用できるのも面白い試みです。俺はまだ使ったことのないフォーマットなので実感はないのですが、縦位置・横位置の区別がなく、また構図設定も新鮮さのある写真が撮れそうな感じです。
なお、高級コンパクトといえばSIGMAのアレは今年中の発売はされませんでした。残念。どうもFoveon搭載のコンパクト機は不遇な運命をたどっているような……。
■OLYMPUS、Eシリーズ第2章■
さてさてこのサイトでは当然言及するべきなのがこの話題。今年一番躍進したデジタル一眼レフメーカーはOLYMPUSだと言って過言ではないでしょう。E-330から始まったライブビューを全機種に搭載し、OMの再来とも言える世界最小・最軽量機、業界で最も効果の高い手ぶれ補正搭載機、そして大進化したE-1後継機と、矢継ぎ早に製品を投入していく姿は、言っちゃナンですが見てるこっちが心配になってくるほどでした。もちろん杞憂でしたが。
まずはトップバッターとなったE-410。
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E-500のもつ世界最小・最軽量のタイトルを更新。375gという軽量さと、グリップを廃したその小さなボディは、撮像素子が35mmフィルム比25%の面積しかない4/3の面目躍如といえるヒット作となりました。OMを思わせるたたずまいに物欲を刺激された方も多いのでは。なお、現在レンズキットで7万前後+1万円キャッシュバックでお買い求め安くなっています。
そしてE-510。手ぶれ補正を搭載したスタンダードモデルです。
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シャッター速度換算で約4段分という効果の高いボディ内手ぶれ補正を搭載。なお、ダストリダクションと後述するSWDはすべて超音波ですが、これはOLYMPUSの医療部門で実際に使用されている超音波技術の転用*4だという話です。操作性や機能性もE-410よりワンランク上*5であり、コストパフォーマンスとしては上々な機種と言えるでしょう。
んでもって、真打ちは〜遅れて現れるのがメキシコ式! E-1後継機であるE-3。
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買いました。ええ買いましたとも。今年俺はこれとCaplio R6の2台しかデジカメ買ってませんよ!*6
それはさておくとして、操作性とデザインと電池の持ち以外はなんていうかもう完璧大満足です。E-1から待った甲斐がありました。実例を挙げると「108mm相当のときに1/8秒で撮った写真の歩留まり8割」、「ISO感度400までノイズフィルタOFFでオッケー」、「遮光カーテン引いた部屋でAFが合う」と信じられないくらい高性能になっていて、おいおいおいコリは本当にオリのデジタル一眼レフかい?と持ち主なのに疑ってしまうくらい大躍進な機種となりました。もちろんライブビューもバリアングル液晶により非常に快適。ファインダも大きくなってMFの快適さが増しました。
ここまで怒濤の新機種ラッシュだったわけですが、そろそろ来年はレンズのほうに注力してほしいなぁと。特にロードマップにある望遠マクロと、できれば14-150mmのZUIKO DIGITYAL版が欲しいなぁと。
■HOYA、PENTAXを吸収■
昨年K100DとK10Dを発売し、デジタル一眼レフ市場で破竹の勢いを見せたPENTAXですが、今年に入ってからHOYAとの関係が微妙に。そして10月末の決算報告で来年3月末日をもってペンタックス株式会社が解散することが発表されました。今後PENTAXはブランドとして存続していきますが、そこからどうなるかはHOYAの胸下三寸……なのかも。
明るい話題としてはK100DSuperの後継機K200Dのウワサ(今のところコラには見えない)がすでにあるため、デジタル一眼レフ事業はしばらくは存続していくであろうという事がみています。今後のPENTAXに幸あれ。
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■18倍ズーム機が登場、小型10倍ズーム機も好調■
OLYMPUSが今年2月に発表したSP-550UZを皮切りに、いくつのメーカーから28mm〜500mm付近相当までをカバーした18倍ズームレンズ搭載機が登場。デジタル一眼レフ全盛の現在「もうコレでええやん」と言ってしまいたくなるほどの超汎用機です。ぶっちゃけLUMIX FZ18が欲しいですな。
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あと、比較的コンパクトな10倍ズーム機も登場。LUMIX TZ3は広角28mm相当からの10倍ズームで汎用性が高く、ボディも一般的なコンパクトデジカメよりふた回りほど大きい程度。まさに旅向けのデジカメと言えましょう。
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■そのほか■
大きいニュースは以上な感じで。それ以外の小規模ながら個人的に気になったニュースを取り上げていきたいと思います。
□Nikon D40が好調、サードパーティから対応レンズも□
昨年暮れに発売されたNikon最小・最軽量機であるD40。セールス的に非常に好調なようです。確かにレンズキットで6万を切る価格は魅力的。高感度にも強く、ファミリーユースで手軽に使える機種としてロングセラーになっています。ボディ内モーターを持たないため、新たにAF-Sのキットレンズが作られたわけですが、サードパーティからもいくつかレンズ内モーターを持つ対応レンズが登場しています。なお、1000万画素版のD40xは在庫終了の模様。
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□FUJIFILMが記録媒体にxD-Picture Cardに加えSDカードを採用□
個人的に大きなトピックとして、FUJIFILMがxD-Picture Card択一をやめ、SDカードとのマルチスロットにしてしまった事があげられます。もちろんSDの値段が1GBあたり1,000円を切っている今ではxD択一というのは割に合わないわけですが、これでOLYMPUSが半分孤立してしまうわけで、ていうかOLYMPUSもマルチスロットにしようぜぇと思ったり思わなかったりなわけです。つかパノラマ機能が自社製xDでないと有効にならないとかそういうアホらしい制限はやめましょうよホント。
□Kenko、カラーメーターや露出計を発売□
KONICAMINOLTAが写真事業から撤退したあと、国産の単体露出計メーカーはほとんどセコニックのみになってしまっていたのですが、今年3月にカラーメーターや単体露出計の発売を正式発表しました。特にカラーメーターは厳密さを求められる商品写真の世界で歓迎されているのではないでしょうか。
□命運をわけた互換インクジェットカードリッジ訴訟□
EPSONとCanonがそれぞれ起こしていた互換インクジェットカードリッジ訴訟において、今年最後に出た判決で命運が分かれました。EPSONは東京地裁および知財高裁で敗訴、Canonは最高裁で勝訴。
なお、Canonはが、実際には過去に敗訴しています。
ただしCanonの敗訴は「特許の濫用」が理由であったのに対し、今回のEPSONは特許そのものの妥当性が疑われ、実際に特許が無効化されているため、この後逆転していくのは難しいかもしれません。
□SONY製60fps CMOSセンサ搭載デジカメをCASIOが製品化□
今年2月にSONYから発表された、全画素読み出しモードで60fps駆動が可能な1/1.8型640万画素CMOSのIMX017CQE(データシートはこっち)と思われる撮像素子を搭載したデジカメの試作機をCASIOが8月に作成。夢が広がる製品として注目を集めました。その後、年内の製品化にはなりませんでしたが……って最近こんなの多いな……。
□デジカメの77%が800万画素以上□
12月頭にCIPAが発表したところによると、国内のデジカメ出荷台数は16ヶ月連続で成長。うち800万画素以上の台数シェアは77%になりました。画素数が多ければ多いほどよいわけではない、ということは今までさんざんお話してきましたが、画質や感度を保っての画素数アップは技術の進歩として歓迎したいところです。ただし、光学の世界には回折というものがあるため、いつかは画素数競争をやめなければならない時も来るでしょうが……。
てなわけで、お送りしてきました2007年の総まとめ。来年はぜひ被写体認識技術の向上と、個性的な機種が多く登場することを願い、2008年を迎えたいと思います。
ではよいお年をー!
*1:顔認識機能を搭載する、というだけならFinePix S5Proが該当する(がAFに使えるわけではない)。
*2:実際、OLYMPUS μ830やμ1200など笑顔認識が搭載されている機種が2007年中に発売されている(Omronの技術が搭載されているかは別として)。またこちらの記事も参照されたい。
*3:撮像素子による測光が可能(「ライブビュー機能」の項目参照)なことから、撮影のためにミラーをダウンさせる必要がないため静音化が可能になった。オリンパスの場合、測光は通常の測光素子を使用するためミラーをダウンさせる必要がある。
*4:顕微鏡のステージ上の対象物を動かすためにミクロン単位での制御が可能な技術が必要で、そのための基幹技術として長年超音波モーターを研究していたという。
*5:操作性は別にして、機能面ではE-410が無駄に制限かけられているとも言えるかも。
*6:と忘年会で話したら、上司(EOS 5持ちでリバーサルのヘビーユーザー)から「2台以上買うほうが異常」とかいう異国の言葉を返されました。俺には理解できません!