2008年まとめ。

 さてさて、今年も開店休業状態が続いていた当ブログですが、年末くらいはちゃんと更新しましょう。てなわけで2008年まとめです。

■コンパクトデジカメはシーン自動認識がトレンド■

 昨年は顔認識・笑顔認識の普及が目立っていましたが、今年のコンパクトデジカメはそれらを応用しつつ、状況に応じてシーンを自動決定する「シーン自動認識機能」の搭載がぼちぼちトレンドになってきています。以下各社でシーン自動認識を持ってる機種を適当に。


Canon:PowerShot A1000IS
Canon デジタルカメラ PowerShot (パワーショット) A1000 IS ブルー A1000IS(BL) / 非AA

Nikon:COOLPIX S710
Nikon デジタルカメラ COOLPIX (クールピクス) S710 アーバンブラック COOLPIXS710B / 非AA

OLYMPUS:μ1060
OLYMPUS デジタルカメラ μ1060 (ミュー) ホワイト μ1060 WHT / 非AA

PENTAX:Optio M60
PENTAX デジタルカメラ Optio (オプティオ) M60 シルバー 1000万画素 光学5倍ズーム OPTIOM60S / 非AA

CASIO:EXILIM EX-Z300
CASIO デジタルカメラ EXLIM ZOOM EX-Z300 ピンク EX-Z300PK / 非AA

SONY:Cyber-shot T77
ソニー SONY デジタルカメラ Cybershot T77 (1010万画素/光学x4/3.0型タッチパネル液晶) ブラウン DSC-T77/T / 非AA

FUJIFILM:FinePix Z250fd
FUJIFILM デジタルカメラ FinePix (ファインピックス) Z250 ホワイト F FX-Z250FDWH / 非AA

Panasonic:LUMIX FX37
Panasonic デジタルカメラ LUMIX (ルミックス) FX37 エクストラブラック DMC-FX37-K / 非AA
 今までもシーンモード自体は搭載されてきましたが、それをユーザーが積極的に活用してきたのか?という点では疑問でした。だってめんどくさいし。というかそもそもシーンモードに対する一般的なユーザーの認識率低いし。てなわけで、いくら数多くのシーンモードを用意しても、ユーザーが使ってくれないことには意味がありません。
 しかし、そのシーンをカメラが自動で認識してくれればどうなるか。夜景やマクロといったカメラのデフォルト設定ではちゃんと撮れないシーンでも、ユーザーが意識することなくキレイに撮ってくれるようになるわけです。これはカメラにおけるユーザビリティ革新の一つといっていいと思います。
 この機能、俺自身は別に必要ないかなーと思ってたんですが、シーン自動認識機能(おまかせiA)が搭載されたLUMIX FX35を使っていると非常に便利でした。というのも、いちいち複数の設定をいじったり、シーンモードを選択しなくてもいいので、シャッターチャンスに強くなれるんですな*1
 
 なおこの機能、別に今年ポッと出てきたものではありません。実に6年前、今はなきMINOLTAのDiMAGE F100までさかのぼります。この時代からすでにシーン自動認識機能を備えていたわけです。すげぇゼMINOLTA。ちなみにこの機種は、Nikon D300/D3/D3X*2や最近のLUMIXなどで採用されている「被写体自動追尾」も先駆けて搭載しています。いかに当時のMINOLTAが先見の明があったというか、早すぎたランナーというか、突っ走りすぎて他がついていけてなかったのか、がわかる機種だったりしますF100。
 もちろん、顔認識や手ぶれ補正機構、高感度ノイズ対策などの基盤となるテクノロジーがあってこそのシーン自動認識なので、今になってようやく日の目を見る機能だといえるんですけどもね……そういう意味でもあまりにも早すぎた。

 

■35mmフルサイズデジタル一眼レフ時代到来■

 まぁ今年最大のトピックではこれでしょう。これまでスタート価格30万前後で入手できる35mmフルサイズ撮像センサー搭載機はほぼCanon EOS 5Dのみでしたが、今年はNikonSONYがこのセグメントに製品を投入。Canonも後継機種を出し、一気に市場が出来上がっていきました。
 まずトップバッターはNikon

B001BWSNIMNikon デジタル一眼レフカメラ D700 ボディ / 非AA
ニコン 2008-07-25

by G-Tools

B001BWSNJ6Nikon デジタル一眼レフカメラ D700 レンズキット D700LK / 非AA
ニコン 2008-07-25

by G-Tools

 ファインダーや連射速度こそ中堅機のそれですが、基本スペックの多くをD3から継承しつつイメージセンサークリーニングを搭載。「暗所スペシャル」と言っていい高感度特性や被写体自動追尾機能つき51点AFなど、D3で好評を博した機能を盛り込み。この不況下で価格.comデジタル一眼レフ売り上げ第2位(2008/12/31現在)というヒット商品です。
 
 続いてSONYα900を発表。NikonCanonと違い、SONYはこれがフラッグシップ機です。

B001G44HW6ソニー デジタル一眼レフα(ボディ単体)ブラック DSLRA900 / 非AA
ソニー 2008-10-23

by G-Tools

 視野率100%・倍率74%と、α-9を越えるファインダーを搭載。視野率100%も限りなく「実質でも100%」を目指しています。明るさ、広さ、ピントの見易さ、どれをとっても、現存するデジタル一眼レフで間違いなくトップのファインダーでしょう。
 撮像素子は、35mmフルサイズ2460万画素のCMOSセンサー「Exmor」。もちろんゴミ除去機能も備えます。それでいてセンサーシフト式の手ぶれ補正機構も搭載。ボディサイズを考えると、SONY開発者の血のにじむような努力と工夫を積み重ねた結果であろうと容易に想像がつきます。
 ただウィークポイントがないわけではありません。ライブビュー非搭載や、高感度ノイズが同クラスの他社製品と比べて多めという点がそう。特にライブビューの非搭載は本当に残念でならない。α350/300のライブビューが好評なだけに。α700の後継機に期待したいところです。
 
 そしてトリを飾るのはCanon EOS 5D MarkII

B001G8XZSECanon デジタル一眼レフカメラ EOS 5D MarkII ボディ / 非AA
キヤノン 2008-11-28

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B001G8XZSOCanon デジタル一眼レフカメラ EOS 5D MarkII EF24-105L IS U レンズキット / 非AA
キヤノン 2008-11-28

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 前機種5Dから3年という期間を経て、まさに満を持しての後継機投入。α900に並ぶ2400万2000万画素オーバーの画素数をもつ35mmフルサイズCMOSセンサーにごみ除去機能を備え、高感度ノイズもぐぐぐぐっと改善。ライブビューやAF微調整機能を搭載し、ファインダ視野率や連写速度も改善され、「とりあえず中堅機にフルサイズ載せましたよ」という雰囲気がしていた前機種から打って変わって、頼もしいスペックを持つ製品に仕上がっています。
 発売早々黒点問題でケチはつきましたが、Canonも改善予定のアナウンスを出していますし、後述の動画機能とあいまって今後のベストセラー機の予感がしますね。
 

■「デジタル一眼レフで動画」時代の幕開け■

 今年のデジタル一眼レフで大きなトピックといえばもう一つあります。動画記録機能です。
 これを製品として最初に実現したのは、Nikon DX系ミッドレンジ機*3D90でした。

B001ET6OA6Nikon デジタル一眼レフカメラ D90 ボディ / 非AA
ニコン 2008-09-19

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B001ET6OAGNikon デジタル一眼レフカメラ D90 AF-S DX 18-105 VRレンズキット D90LK18-105 / 非AA
ニコン 2008-09-19

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B001ET6OB0Nikon デジタル一眼レフカメラ D90 AF-S DX 18-200 VRレンズキット D90LK18-200 D90LK18-200 / 非AA
ニコン 2008-09-19

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 Nikon D90自体はD80の後継機であり、D80D200のサブセット版的な位置づけであったように、D90D300のサブセット版的な存在です。Nikonのこのクラスは価格対性能比が非常によいと思います。ちなみにSMBCコンサルティングの2008年ヒット商品に選ばれています。
 そんなミッドレンジ機であるD90ですが、720p(1280×720・プログレッシブ)・24fpsの動画記録機能がレンズ交換式デジタル一眼レフとしては初めて搭載されました。続いて、先述のEOS 5D MarkIIが1080p(1920×1080・プログレッシブ)・30fps・H.264コーデックでの動画記録に対応。この2機種が主に動画業界に与えた衝撃は大きいといわれます。
 D90の場合コーデックは一般的なデジカメと同じMotion JPEGなのでデータ量がマジパネェことになるとか、フォーカスはMFのみとか、音声はモノラルのみとか、CMOS特有の「ゆれ」があるので激しくカメラを振るような場面では使えない、といった制限はあるにせよ、一般的な民生用ビデオカメラとは別次元の動画を撮ることができます。主にレンズ交換による豊富な画角と、大型撮像素子採用による浅い被写界深度。特に被写界深度は、プロ用機材でも2/3〜1/3型撮像素子を使っているものも多いという現状からするととんでもない事態であるといえましょう。
 一部「デジタル一眼レフに動画機能なんざ不要だゼ」という声もありますが、どっちかというと写真を撮ってきた人に向けてアピールする機能ではなく、カメラメーカーがスチルの世界から動画業界に対して市場を拡大していくための機能だと思います。
 なお、Panasonic来春以降に動画対応機の投入を予定しており、またOLYMPUS先日のインタビューで動画対応を検討している事が確認できているので、2009年以降も続々と対応機器が出てくるのではないでしょうか。

 

マイクロフォーサーズ始動■

 ではそろそろこのサイトらしい話題を。まずはマイクロフォーサーズから。
 今年8月にOLYMPUSPanasonicマイクロフォーサーズ規格を発表。規格の概要は発表当時の当サイトの記事をご参照いただくとして、製品化第1弾として投入されたPanasonic LUMI G1は予想以上に好調なセールス実績を残しています。

B001FWYH2EPanasonic デジタル一眼レフカメラ LUMIX (ルミックス) G1 ボディ コンフォートブラック DMC-G1-K / 非AA
パナソニック 2008-10-31

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B001FWYH38Panasonic デジタル一眼レフカメラ LUMIX (ルミックス) G1 レンズキット コンフォートブルー DMC-G1K-A / 非AA
パナソニック 2008-10-31

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B001FWYH3SPanasonic デジタル一眼レフカメラ LUMIX (ルミックス) G1 Wレンズキット コンフォートレッド DMC-G1W-R / 非AA
パナソニック 2008-10-31

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 発表当初、マイクロフォーサーズでありながらボディサイズがE-420とほぼ同等、という点で落胆の声が上がっていましたが、実際に製品が発売されてみると「意外にいいんじゃね?」という雰囲気に。
 最も意外だったのはオートフォーカスの速さ。マイクロフォーサーズで事実上の前提となっているコントラスト検出AFは、デジタル一眼レフで使われている位相差検出AFよりもふつうは遅くなるはずなんですが、実際にはむしろ並の位相差検出AFを凌駕するAFを備えています。個人的な体感ではCanonのUSMと同じくらい速い。高速化した要因はいくつかありますが、その一つがマイクロフォーサーズ規格に準拠することで従来のフォーサーズから電子接点が増えたことにより、レンズの制御精度が向上したかららしいです。
 また、通常デジタル一眼レフでは採用されないようなカラーバリエーションをそろえ、しかもどれも落ち着いた大人向けの色を採用することで、幅広いユーザー層に受け入れられているようです。
 OLYMPUSもフォトキナでめちゃくちゃテンションの上がるモックアップを展示していますしマイクロフォーサーズの門出としては上々の成績ではないでしょうか。少なくともE-1のデビュー当時よりは。

 

■今年のフォーサーズ

 では、マイクロではない従来のフォーサーズはどうだったんでしょうか。今年Panasonicフォーサーズボディを出していないのですが、OLYMPUSは精力的にボディを出していきました。
 まず今年4月にE-420を発売。

B0015HT55SOLYMPUS デジタル一眼レフカメラ E-420 ボディ E-420 / 非AA
オリンパス 2008-04-18

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OLYMPUS デジタル一眼レフカメラ E-420 レンズキット E-420KIT / 非AA
B0015HUEBC

OLYMPUS デジタル一眼レフカメラ E-420 ダブルズームキット E-420WKIT / 非AA
B0015HR31G

 もともと小型軽量で好評だったE-410コントラスト検出AF(ハイスピードイメージャAF)を追加。顔認識にも対応してライブビューの使い勝手がさらに向上。さらに画質面では、撮像素子LiveMOSを改良型に換装することで白飛びを改善し、フラッグシップ機E-3と同等の画質を手に入れました。
 またE-420と同時に発表されたパンケーキレンズZUIKO DIGITAL 25mm F2.8や、速写ジャケットの発売など、ボディだけにとどまらないソリューション全体で評価できる機種になっていきました。実際それらとストラップやCFなどをセットにした小町キットも限定販売されています。

B0015HR5FAOLYMPUS 交換レンズ ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 非AA
オリンパス 2008-04-18

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OLYMPUS 本革ボディジャケット ホワイト CS-8BWT / 非AA
B0015HY5QC

OLYMPUS 本革レンズジャケット S ホワイト CS-8LSWT / 非AA
B0015HR58M

 また、E-420と同様にコントラスト検出AF・顔認識の搭載、LiveMOSの改良が加えられたE-520も発売されました。E-510から引き続きボディ内手ぶれ補正機構が組み込まれているので、暗所や望遠でも効果を発揮してくれます。





OLYMPUS デジタル一眼レフカメラ E-520 ボディ E-520 / 非AA
B0019DIDA6

OLYMPUS デジタル一眼レフカメラ E-520 レンズキット E-520KIT / 非AA
B0019DCWPI

OLYMPUS デジタル一眼レフカメラ E-520 ダブルズームキット E-520WKIT / 非AA
B0019DCWQC


OLYMPUS デジタル一眼レフカメラ E-520 超望遠600mmキット E-520 TYOUBOUEN600MM KIT / 非AA

B001CHVNBK

 個人的にですが、最近京都などの観光地でE-510/520を見かけることが多くなった気がします。価格に比して手ぶれ補正機構の性能が高く、他社製品と比べても小型軽量であることが功を奏したというところでしょうか。
 そして12月には、待望のミッドレンジ機であるE-30が登場します。
 
B001KBYQX0OLYMPUS デジタル一眼レフカメラ E-30 ボディ E-30BODY / 非AA
オリンパス 2008-12-20

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B001KBYQXAOLYMPUS デジタル一眼レフカメラ E-30 レンズキット E-30LKIT / 非AA
オリンパス 2008-12-20

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 11点のツインクロス測距点、最大5段分の効果があるボディ内手ぶれ補正機構、5fpsの連写性能といったベーススペックをE-3から引き継ぎつつ、ボディを小型・軽量化し、内蔵電子水準器やアートフィルターといった「写真を撮るための機能*4」を載せています。
 使用感などは以前のイベントレポートをご覧頂きたいのですが、特にアートフィルターの楽しさは新鮮です。もちろんこういったカメラ単体で画像に効果を適用させる機能じたいは特に珍しくはなく、PENTAXでは以前から実現されていました。しかし、これがライブビューで撮影前から適用された状態がわかると、写真に対するテンションの上がり方が違います。アートフィルターはぜひ量販店の展示機などで試して頂きたい機能です。

 

SDHC下落続く■

 今年注目されたトピックのひとつに、SDHCの価格下落があります。特に16GBの値下がりが特筆で、年頭から年末まで価格.com最安値が13,000円から2,499円にジェットコースター値下がり*5。実に5分の1です。円高の影響もたぶんあるんでしょう。
 SDHCはデジカメ・デジタル一眼レフやビデオカメラだけでなく、SSDタイプのネットブック用追加ストレージなどにも幅広く使用できるので、この価格下落は歓迎したいところです。ただ、高いうちに買った人はツラいだろうなー……。
 ちなみに俺はLUMIX FX35の動画用に、3500円切った段階で上海問屋で購入しました。中身はTranscendのClass6。悪い買い物ではなかったと思います。
[rakuten:donya:10012291:detail]
 
さてさて。フォトフレームの話とか、写真閲覧対応のオンラインストレージの話とか、今年はじっと我慢の子な雰囲気がしていたPENTAXの話*6とかいろいろありますが、ここまででもかなり長くなってしまいましたので、このあたりで*7
相変わらずの不況ですが、2009年はコンパクトデジカメはさらなる利便性を、デジタル一眼レフはさらなる高画質化と動画の進化を追求して頂きたいと思います。では!

 

*1:これでズーム位置を覚えるファンクションがあれば言うことはないんですがLUMIX

*2:もちろんAFの仕組みがまったく違うので、両者を比較するのはナンセンスなんですが。

*3:NikonD300をDX系フラッグシップ、D90をミッドレンジ、D60/D40をエントリーないしローエンドとして位置づけている。

*4:言い換えれば「カタログスペックにこだわらず写真を撮る楽しさを倍増させる機能」。

*5:価格.com メーカー問わずSDHC 16GBで、2008年1月22日と2008年12月31日の値段。

*6:いやまぁ名機K20Dが出てるので暗いニュースばかりじゃなかったんですけども。

*7:あとでこっそり追記するかもしれないけど。