今年のまとめ。

 本サイトでやってた頃からの恒例。今年はデジカメ業界のまとめです。
5位■PictBridge 策定。
 あまり日記では取り上げませんでしたが、実は個人的にかなり注目しているトピックです。
 今年 3 月までのデジカメ販売員の経験から言うと、デジタルカメラで撮った写真を印刷するニーズはかなり高まってきています。具体的にはデジカメとプリンタの同時購入が意外に多いと言うこと。俺が入っていた販売店カメラ専門店だったのでプリンタはあまり置いていなかったんですが、ダイレクトプリンタだけはよく売れてました。やはりデジカメで撮った写真をそのまま印刷できるというのは、各社ダイレクトプリンタの画質が軒並み悪い事を除いても十分にニーズがあるわけです。
 それまでダイレクトプリンタは Canon 製品内でのシステム*1を除けば、プリンタ本体に設置されたスロットにメモリーカードを入れて印刷するのが一般的でした。しかしこれはプリンタ側のコストが高くなり、またたいていの場合液晶モニタを追加しなければ印刷したい写真を確認する事ができなかったわけです。そこで共通規格の PictBridge では、対応するデジカメとプリンタとの間を USB ケーブルでつなぎ、デジカメ側でプリンタを制御する仕組みが考えられました。これだとデジカメから直接画像を転送するのでプリンタ側にスロットを設置する必要がなく、またデジカメ側の液晶を使う為追加投資が要りません。メーカーにすれば共通規格にさえ則っておけば年配の方を中心とした「ノン PC ユーザ」の取り込みもでき、市場拡大にも繋がるわけです。
 ちなみにこないだ親父が EPSON PM-G800 をゲットしてきやがったのですが、これは PictBridge に対応していません。というより EPSONPictBridge に対しそれほど積極的ではないようです。多分そんなことしちゃうとただでさえ売れていない EPSON 製デジカメ*2がますます売れなくなってしまうからでしょうが、Canon がこの冬モデルのプリンタほぼすべてを PictBridge に対応させている状況とは対照的な話です。……せっかく RICOH Caplio G4Wideファームウェアアップデートして PictBridge に対応させたと言うのにぃー。
4位■OLYMPUS、復活。
 まぁとりあえず信者として。
 昨年までは「ダサくて遅い」というレッテルの貼られていた OLYMPUS ですが、μ DIGITAL シリーズの発売を皮切りに一気に攻勢に出ました。またロングセラー機C-2Zoom の後継 X-200C-730UltraZoom の後継 OLYMPUS CAMEDIA C-74x/75xUltraZoom、そして x0x0 系初のワイドズーム機 C-5060WideZoom などラインナップを拡充。デザインや速度もかなりがんばっており、持っていてストレスの無い機種が増えてきています。
 来年には薄型デジカメへの参入も表明しており、信者としては喜ばしいことと言えましょう。
3位■高倍率ズームデジカメ夏の陣
 OLYMPUS CAMEDIA C-7xxUltraZoom 系に端を発した 10 倍超の高倍率ズームレンズを搭載したデジカメが多数登場。熟成とロングランの OLYMPUS CAMEDIA C-74x/75xUltraZoom、速度と動画の KONICAMINOLTA DiMAGE Z1、手ぶれ補正の Panasonic LUMIX FZ2 および FZ10、パッケージングの TOSHIBA Allegretto M700、高級感漂うボディの FUJIFILM FinePix S5000
 個人的にオススメなのは C-7xx 系と DiMAGE Z1。1 台で望遠とマクロが扱え、かつ電源に単3電池が使用でき、良質なコンバージョンレンズ*3を含めて応用範囲が広いから。
2位■薄型・軽量・コンパクト。
 昨年 MiNOLTA DiMAGE X / Xiの登場で開拓された薄型デジカメ市場ですが、今年はCASIO EXILIM EX-Z3PENTAX Optio S が登場して一気に拡大。特に EX-Z3 は今年最も売れた 300 万画素機として君臨しています。
 MiNOLTA はそれに対抗するかのようにさらに小型化した DiMAGE Xt と廉価版の X20 をリリース。特に X20 は今年最もオススメ度の高い 200 万画素機になりました。また Canon もストレージに SD メモリーカードを採用して若干小型化した IXY DIGITAL 30 をリリース。その後単焦点ながら高級感の高いボディと強力なマクロ機能を備えた 400 万画素機 IXY DIGITAL L を発売しています。
 SONY はそれに遅れまいとインナーズーム機 Cyber-shot T1 を出しますが、夜景モードがあっても三脚穴が無かったり、また F3.5 とレンズが暗いにも関わらず光学ファインダを搭載していなかったり、2.5 型の大型液晶にプレビューされる映像の解像度が低かったり、と今ひとつカメラとして基本的な性能に疑問点が残る機種になってしまっています。……でもこれ売れてるんですよねー……。
1位■デジタル一眼レフ市場拡大。
 「今年はデジタル一眼レフの年」と言って良いくらいデジタル一眼レフがリリースされました。
 まず Canon が 20 万円を切る EOS 10D を発売。スポット測光が無いなどミッドレンジ機として多少の問題はありましたが、それまで高級感という点で軽視されてきたボディにマグネシウム合金を採用するなど、低価格ながらヒット作になりました。
 また PENTAX がいまだに「世界最小・最軽量」のタイトルを離していない *ist D を発表します。発表から発売までが長かったのですが、とにかく K マウントレンズのほとんどが使える為年配の方を中心とする人気作になっています。
 OM システムを凍結し AF 一眼レフの開発で遅れを取った経緯のある OLYMPUS は満を持して E-1 を発売。共通企画フォーサーズマウント、フルフレームトランスファー CCD、ダストリダクションシステムなど斬新なファクター満載のデジタル一眼レフです。またレンズブランドとして「ズイコー」の銘を「ズイコーデジタル」として復活。レンズラインアップは 4 本と乏しいながら、ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 は広角から中望遠、そしてマクロまでオールマイティに使え「とりあえずこれがあればオッケー」と言われています。
 Nikon は 400 万画素フルサイズで 8 コマ / 秒、最大 40 枚という驚異的な連写性能を誇る D2H をリリース。CMOS 技術を使用した Nikon 独自のイメージセンサ「LBCAST」を新たに開発。また DX ニッコールレンズも本格的にリリースされました。
 SIGMAFoveon X3 センサを採用した SD10 をリリース。1 画素で RGB すべての情報を得ることの出来る史上最強の 300 万画素デジタルカメラ。情報量は通常の CCD に換算して 1000 万画素。基本的には SD9 のマイナーチェンジ版ですが、ISO 1600 までの高感度撮影が可能になっています。
 そして今年 9 月にデジタル一眼レフの価格破壊機 EOS KISS DIGITAL が出ました。10D とほぼ同じ CMOS センサを搭載しながらボディ価格 11 万 8000 円という低価格を実現。EF レンズユーザはもちろん、それまでコンパクトデジカメを使ってきた人がステップアップとして選ぶカメラとして、爆発的なヒットを飛ばしました。バッファが 4 枚しかないなどコストダウンのための多少の弊害はありましたが、とにかく多くの人がデジタル一眼レフを手にする機会を得たことは業界にとって喜ばしいことと思います。
 なお来年以降 EOS KISS DIGITAL に続く低価格デジタル一眼レフNikonOLYMPUSPENTAX からリリースされる事が分かっています。この市場も目が離せないでしょう。

 

*1:IXY や PowerShot なら USB でプリンタと直接接続して印刷できる、というシステム。BJ 895PDPIXUS 470PD などが対応していた。

*2:Canon と同じく自社のデジカメとプリンタとを USB で接続することで行えるダイレクトプリントシステムが搭載されています。

*3:特に OLYMPUSテレコン T-CON17。