フォーカルプレーンシャッターとレンズシャッター

 デジカメのシャッターには大きく分けて電子シャッターとメカニカルシャッター*1の二つがあります。電子シャッターは CCD の露光 ON/OFF の制御で行うもので、メカニカルシャッターはその名の通り機械なシャッター機構を持つものです。
 メカニカルシャッターはさらに二種類あります。

レンズシャッター
レンズの絞り位置(光学系のまん中)にあるシャッター。絞りをかねている場合も多い。コンパクトカメラはほぼ全てコレ。ちなみにプリズム一眼レフである E-20 もレンズシャッター。
フォーカルプレーンシャッター
ほとんどの一眼レフで採用されているシャッター機構で、CCD 面前面にある幕をスライドさせることで露光させる仕組み。シャッターを切ると「前幕」と呼ばれる第1幕がスライドして CCD への露光が開始され、露光が終わる時点で「後幕」がスライドし、遮光する*2

 重要なのは、レンズシャッターはほぼ密閉状態のレンズの中にその機構があるのに対し、フォーカルプレーンシャッターの場合基本的に CCD との間には何も無いという事です。フォーカルプレーンシャッターの素材はたいていが金属製。もちろん摩擦などに対する耐性が高い合金を使用していますが、発生するゴミはゼロではありません。
 どれだけレンズ交換時に気を付けていても、カメラ内部の機構で発生するゴミは避けようが無いという事ですね*3
 発生し CCD に付着したゴミはほとんどの場合サービスセンターに持っていって除去してもらう必要があります。それはあまりに面倒な話です。そこで OLYMPUS では CCD の前に取り付けたスーパーソニックウェーブフィルターでゴミをふるい落とす仕組みを導入していますし、Nikon も最近 クリーニングキットをイメージセンサに対応させたりしていますね。
 ゴミ問題は俺も重要視していなかったんですが、id:mono_ma_nia さんのこれを見てしまうとやはり辛いです。Nikon D70EOS KISS DIGITAL のような低価格一眼レフの登場でこのゴミ問題はいっそう注目されるかもしれません*4
【参考】Nikon Web Magazine(ウェブマガジン):久門 易 著「一眼レフ入門」第5回
 

*1:銀塩カメラではこの二つの意味合いは異なってくる。前者はシャッター制御が電子制御されているもの、後者は完全な機械式のもの。同じ OLYMPUS OM でも OM-2 は前者、OM-1 は後者。

*2:マニュアル露出ができるデジカメのフラッシュモードにある「前幕シンクロ」「後幕シンクロ」はここから来ている。「前幕シンクロ」は露光した瞬間に発光、「後幕シンクロ」は露光し終わる瞬間に発光。

*3:「ではなぜデジタル一眼レフをレンズシャッターにしないのか」という問いもありますがそれはまず無理でしょう。少なくともそうなるとレンズ自体にシャッターを取り付ける必要があり、事実上新マウント規格を立ち上げることになっちゃいます。あと高速シャッター化しにくいとか、コストの問題とか。

*4:もちろん絞らなきゃ目立たないんで、ずーっとプログラムオートで撮ってる人には関係ない話なのかもしれませんが……。でもマクロや夜景やり始めたらツラいかなー。