PhotoFesta 2008 Winterに行って来たヨ。

12/14(日)。最終日かよっ。しかも1週間後にやっとエントリ更新ってどういうこった>俺。もうE-30発売してるっちゅーねん。

それはともかくとして、まずは本イベントの目玉であるE-30を触った感触から。
 

E-30ハンズオン■

  • 操作性
    • ボディが小さくなった恩恵により大幅に向上。特にE-3では右手親指が届かなかった[LV]ボタンや[MENU]ボタン、あと電源レバーが届くようになり、左手でレンズを支えたたまま各種設定ができるように。
    • モード切替がダイヤル式になったため明確でわかりやすくなった。反面、後述のアートフィルターとシーンセレクトの共存関係がわかりにくい。
    • 十字キーによる測距点移動は非常に快適。E-3のファームウェアアップデートが楽しみ。
    • 再生時、3x3などの縮小並べ表示に現在選択されている画像に対してアニメーションがかかるようになった。結果的に遅くなっている。最近のμにおける3DCG表示もそうだが、意味がない上に操作性を損なう演出はやめていただきたい。
    • それ以外の操作性はE-3とほぼ同じ。基本的なボタンレイアウトが変わっていないので当たり前なんだけど。
  • ボディ
    • ボディ全体の品質は確かにE-3には劣る。E-1にはさらに劣る。NikonでいうとD70/80/90と同程度。
    • 背面液晶の品質はE-3とほぼ同じ。あまり大きくなったように思えないのはバリアングル液晶の枠部分の大きさがほぼ同じだからか。
    • ファインダはE-1とほぼ同じ品質と感じた(数字上は0.06倍分大きい倍率)。あと、会場においてあった固体を確認した限りでは、「視野率98%」は「最低98%」であり、ほぼ100%とみてよさそう。
    • ボタンの押下感などはE-3よりもクリック感のあるE-4x0/5x0系に近い。
    • 今回も液晶パネルにリモコン受信窓はつかなかった。あと液晶輝度調整用のセンサーは無くなった。
  • ライブビュー
    • 後述するが、今回も静音モードがない。
    • 顔認識の速度・精度はE-420/520のものから進化はみられなかった。
  • AF
    • 会場で試した限りだが、Eシリーズの持病である「暗所におけるAFの迷い」は改善されたかに思える(実際はどうかはわかんない)。
  • アートフィルター
    • 当初はスイーツ(笑)仕様と揶揄されたアレだが、使ってみるとけっこう面白い。
    • 適用するには、モードダイヤルの[ART/SCN]にあわせた後、適用したいフィルター効果を選んで[OK]を押下すればいい。以下は適用例。

適用前適用前(オリジナル)
 ↓
ファンタジックフォーカス適用後(ファンタジックフォーカス)
適用前適用前(オリジナル)
 ↓
ラフモノクローム適用後(ラフモノクローム)こんな感じ。
また1つのシーンに対して複数のフィルターを適用した作例を以下に掲載。
適用前(オリジナル)

ポップアート ファンタジックフォーカス
デイドリーム ライトトーン
ラフモノクローム トイフォト

    • なお開発者プレゼンによると、これらの効果はPhotoshopなどでも作成可能だが、アートフィルター適用時カメラ内ではガチで画像解析をしてたり撮影時のAEをフィルター向けに最適化したりしたうえで適用しているので、Photoshop上で同じ事をしようとすると相当労力がかかるだろうとの説明があった(しかもこのアートフィルター機能のためにこれまで使用してきた画像処理チップセット「TruePicIII」にこのフィルターを適用する機構を組み込んだ「TruePicIII+」を新たに採用している)。
    • 上記のような理由から、アートフィルターはキヤノンで言うところのピクチャースタイルとは違い、シーンモードの拡張版的な位置づけである。そのためAEはプログラムになる(フィルターごとに絞り値などの傾向は変わる)。
    • RAW+JPEGで撮影している場合、RAWには適用前のもの、JPEGには適用後のものが保存される(上記作例はそうやって撮影した)。
    • アートフィルターとシーンセレクトがモードダイヤル上では1つの項目にまとめられており、背面液晶にて十字キー[←][→]で選択するのだが、最初はそれがわかりにくい。
  • 電子水準器
    • ロール(左右)だけじゃなくピッチ(前後)に対しても使える。
    • ファインダ内表示は露出補正ゲージと同じ場所に出るため若干わかりづらい。ライブビューで使うのがわかりやすいかも。慣れの問題だと思うけど。
    • 最近アクセサリシューに取り付ける電子水準器を購入したが、やはり内蔵しているのと外付けではえらく違う。非常にうらやましい機能。
  • マルチアスペクト
    • 基本的にライブビュー時のみ使用だが、設定を変えることにより光学ファインダ使用時にも適用が可能(ただしファインダ上に指標などは当然出ない)。
    • アスペクト比の変更はメニュー内の画質設定で行う。スーパーコンパネ上の画質設定に現在のアスペクト比が表示されているが、ここでは操作できない。つまり手軽にアスペクト比を変更することができない(えー)。
  • そのほか
    • SAT(シャドウ・アジャストメント・テクノロジー)=諧調オートの適用強度は今回も見送り。
    • 縦位置グリップHLD-4が使用可能。
    • 光源センサーがついてるだけあってAWBは安定していた。E-3と同程度。ミックス光環境でのテストままだだけど。

 
以上のような感じ。基本性能はE-3のまま、ボディが小さくなったことによる操作性向上は無視できないアドバンテージです。ファインダのぞきながら「あーここはライブビューだなー」と思った時、左手をレンズから離さなくてもいい、というのは撮意にかなり影響するので。
アートフィルターはインパクトのある「ポップアート」や「ファンタジックフォーカス」はすぐ飽きそうですが、ゆるふわな写真が撮れる「ライトトーン」や「デイドリーム」なんかはシーンに応じて常に狙っていけそうな感じです。特にオリンパス機の出力する写真はコントラストが高い傾向にあるので、このギャップは新鮮。
マルチアスペクトはやはり面白いです。最近の俺はLUMIX FX35をほぼ16:9モード固定で使ってますが、トリミングとはいえ撮影時の画面構成に変化をつけられるのは楽しいです。
惜しいのは、それらの機能がうまく操作性と結びついていないこと。オリンパス機では日常茶飯事だz機能を単体で評価するなら非常によいものを作ってくるのに、いざそれを使おうとするととたんに悩むというのがオリ機の悪いところです。
総じて、E-3を持ってない人でE-5x0で物足りねぇって人へのアップグレードパスとしてはうってつけの機種と言えます。またすでにE-3持ってる人にも、防塵防滴いらないから軽く小さくって人は買い替えを検討できる機種といえましょう。

 

オリンパスの中の人に聞いたことその1■


 んで、会場で聞いたことなどを少し。覚えている限りで。

  • E-30&14-54mmII関連
    • あれだけ似ているE-3とE-30は、実は別のデザイナーがデザインしている。ちなみにE-1とE-30が同じデザイナー。
    • 静音モード*1の搭載は一度検討されたが、主にシャッターチャージ用モーターの関係で搭載を見送った。搭載した場合は今のボディサイズを維持できない。そのかわり、今回パタパタAFおよびパタパタAEについてはE-3よりさらに高速化した。
    • コントラスト検出AFはE-520比で約20%高速化している。
    • アートフィルターは、開発者が自分で写真を撮っていて考え付いたファンクション。いずれ後から効果を追加したり、ユーザーが作成したフィルター効果をFotoPus経由で公開したりできると面白いと考えている。
    • 14-54mmIIで光学設計を変更しなかった理由は、あの逆光耐性を正確にシミュレートできなかったため。
  • マイクロフォーサーズ関連
    • フォトキナでのモック公開と同時に非常に大きな反響を頂いている。モックでこれだけ反響をもらえるならこのままずーっとモックで通そうかと思っている(笑)。
    • 今回のモックとこれをベースにした製品ではスペースの関係上手ぶれ補正機構は入れられないが、なんとか実現できないかと開発に指示を出している。開発現場からは「無茶言わないでください」と散々言われているが、なんとか実現したいと思っている。
    • モックのレンズはパンケーキレンズ。おそらくボディ発表当初のレンズ本数はそれほど多くない。が、趣味性の高いレンズを用意したいとは思っている。
  • そのほか
    • E-410発売当時から速写ケースの商品企画はあったが、時代に合わない商品であることとケース売り場にそぐわない梱包(大きめのプリスターパック)であることから、各店舗から総スカンを食らった。そこで自社のショッピングサイトで限定販売したが、これが飛ぶように売れたため、一般店舗にもおいてもらえるようになった。販売実績はかなりよい。
    • キャッシュバックキャンペーンでもらえる限定ストラップはかなりどきつい色だが、実際にカメラと組み合わせてみると意外と違和感がない。
    • E-3については近々ファームウェアアップデートがある。期待されている機能の追加のほか、縦位置グリップ装着時の安定性向上も予定されている(これはすでにアナウンス済み)。

 

オリンパスの中の人に聞いたことその2■


最後に、オリンパス 寺田本部長様にまたもやインタビューを急遽敢行してきました。以前にも当サイトでお話を伺ったことがある方です。お話を聞いてから時間が経っちゃったのでかなり忘れています*2が、覚えている限りで掲載します。
<Q:妖介 A:寺田様>

どうもご無沙汰しております。E-500のときにお話を伺った者なのですが……。
どうもこんにちわ。覚えていますよ。今度は何か作品を見せてくださいよ(笑)。

 

恐縮です。あとまだお見せできるような腕は持ち合わせていませんのでご勘弁ください(笑)。
では次回に期待させていただきます(笑)。

 

ところで、E-500発売時のイベントから考えると、かなり客層が変わりましたね。
そうですね、やはりE-410/420から主に若年化と女性の参加が目立ちます。

 

//d.hatena.ne.jp/kiai_hissatsu/20040522/1085250631" target="_blank">私がE-1のオーナーイベントに参加したときは、30代以下は私一人という状況でした(笑)。:本当ですか(笑)。あと、来場者数も増えました。去年E-410/510のイベントをやったときはガラガラだったんですけど。

 

あれは場所が悪かったです。特に新大阪(笑)。
そうなんです。その経験があったので、今回オリンパスの大阪支社があるこのビル(新大阪)で開催することに抵抗があったんですが、幸いなことにたくさんのお客様にご来場頂けました。

 

やはりそれだけオリンパスに対する注目度もあがってきたと。
そうですね。我々が言うのもなんですが、普通一眼レフというとまず大きな二社で決まってしまいます。それ以外でかつ弊社の製品を選んでいただけるお客様は、こだわりのあるお客様です。大事にしていかなければならないと思いますね。

 

ところでマイクロフォーサーズなんですが、パナソニックさんが来年以降予定している動画について、オリンパスではどうお考えなんでしょうか?
まず、実装するだけなら今からでもできます。キヤノンさんやニコンさんはそういうアプローチを取ってらっしゃいますよね。でも我々としては、ただ「動画が撮れますよ」だけで商品にはできない。動画が撮れることによって何ができるのかをお客様に提案しなければならないと思っています。

 

それはたとえば動画にまつわるソリューション込みで商品化したいと?
そうですね。

 

なるほど。ただ、オリンパスさんといえば
//www.olympus.co.jp/jp/news/2004a/nr040409sh880j.cfm" target="_blank">スーパーハイビジョンクラスのムービーシアターまで用意しているほど動画に対して非常に力を入れているメーカーと認識しています。すでにソリューション込みで提案できる実績はあると思うんですけど……。:よくご存知で(笑)。ただ民生用という話になると別です。特に弊社は20年ほど前にビデオカメラ事業に参入しようとしてやめた経緯もありますし……。

 

それは勉強不足で知りませんでした。いずれにせよ、いつかは動画への参入はしたいとお考えなんですね。
ええ、今はまだ考えている段階ではありますけどね。何かいいアイデアがあればご提供をお願いします(笑)。

 

いやぁ急には出てきません。次回の宿題とさせてください(笑)。今回はありがとうございました。
では作品の件も含めて次回お会いするときにお願いします(笑)。ありがとうございました。

急遽お話したためあまり質問を用意できませんでしたが、オリンパスが動画に関してかなり慎重かつまじめに取り組もうとしているのがわかったのが収穫でした。

 

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*1:ライブビュー撮影時にミラーの上げ下げが発生しないモード。Canonが実現している。オリンパス機の場合、MFにしていてもミラーの上げ下げが発生してしまう。

*2:メモの用意してこなかったのが痛恨orz