キヤノン IXY DIGITAL L −単焦点 超コンパクト機の価値−(PC Watch)

 400 万画素単焦点 IXY DIGITAL のレビュー。実はかなり欲しいと思っている IXY です。
 そもそも IXY の大きな欠点のひとつには、その中途半端なレンズ性能がありました。たいていが 35-70mm の 2 倍ズームで F2.8-4.0 程度の明るさ(IXY DIGITAL 300 や 400 などを除く)。収差を考えると「無くてもいいけどちょっとはあったほうが……」というそんなの微妙すぎ焦点距離でした。これがたとえば 28-56mm な広角ズームだったり、F2.8-3.5 くらいテレ側が明るかったりすれば話は別なんですが、「これくらいならズーム要らねぇから高品質な単焦点にしてくれたほう嬉しいヨ」なわけです。
 コンパクトデジカメにおける単焦点レンズは主にエントリーモデルに搭載されている事もあって軽視されがちですが、「焦点距離が決まっている」ことから描写のしっかりしたレンズを作れるというメリットがあります。実際、風景やマクロ*1など描写に一定以上の品質を求められる場面では、一眼レフの単焦点レンズで撮られる事が多いです(アサヒカメラとか見てると特に)。ポートレートの場合は撮影リズムが必要なので利便性の高いズームレンズが使われますが。
 またマクロ性能の中途半端さも IXY の弱点でした。というか Canon の機種全般的にマクロが弱い。最近の機種はワイド端で 5cm くらいまで寄れるようになりましたが、例えばテレ端で 20cm まで寄れる OLYMPUS の 3 倍ズーム機なんかに比べると、数字上でのスペックとは裏腹に拡大率で負けているわけです。しかしこの IXY DIGITAL L では 3 cm までのスーパーマクロが使えるようになり、一気に拡大率が高くなりました。またズームレンズのワイド端限定マクロとは違い単焦点なので、歪曲もかなり少ないと思われます。
 あとはサンプルを見ていただければわかりますが、やや派手目の描写をするようです。AWB や露出に関しては基本的に心配する事はないでしょうし、1/2.5 型 400 万画素で画素ピッチ 2.5μm という CCD の性能を考えればがんばって解像しています。さすがにノイズ量や細部描写ではかなりヒデぇことになってますが、まぁパッと見の印象はわるくないと思います。もうちょっと自然な色合いだといいんですが、それはまぁ DIGIC ですし。今 Canon のデジカメを買うということは DIGIC の絵を買うということですから。
 描写品質という点では CCD の性能以外のところで頑張っていると思います。本当はこの単焦点レンズが 39mm という中途半端な焦点距離でなければもっと良かったんですが、中途半端なズームレンズ載せられるよりはずっとマシってことでひとつ。

 

*1:というか通常一眼レフのマクロレンズ単焦点なのですが。