PowerShot Pro1 発表。

 毎年 PMA 前に怒濤の新作ラッシュを行う Canon。今年はハイエンド系 PowetShot のラインアップが一新。OLYMPUS や MiNOLTA に近いラインナップになっています。
 まずは事実上 PowerShot G5 の置き換え、直前に情報が流出していた PowerShot Pro1 から。

  • 2/3 型 830 万画素 CCD 搭載。有効 800 万画素。カラーフィルタは原色系 3 色。
  • 35mm 換算 28-200mm / F2.4-3.5 の L レンズ*1。しかも USM。蛍石&UD レンズ*2使用で超音波モーターを搭載。EF レンズユーザ垂涎のスペックがここに。F 値通し固定なら神だった(ものすごい大口径になるけど)ごめん、蛍石使ってる時点で十分神。
  • シャッタースピードは 15〜1/4000 秒。コンシューマ機でこれを達成しているのはすごい*3。とりあえず ND フィルタ無しで F2.4 の明るいレンズを活かせそう。
  • 絞りは F8.0 まで。
  • バヨネット式コンバージョンレンズ対応。
  • 位相差検出パッシブセンサを搭載し、TTL CCD コントラスト検出と合わせたハイブリッド AF を採用。ようやく流行に乗ってきた。
  • スーパーマクロモード時レンズ前 3cm。焦点距離は不明。
  • 連写は通常モードで 1 枚 / 秒×最大 18 枚まで。高速モードで 2.5 枚 / 秒× 6 枚。ブラケット 2 セット分は用意してくれている。
  • 最大 640×480@15fps で 30 秒までの音声付き動画撮影機能。
  • 各種 AE とマニュアル露出、カスタムモード 2 種、シーンモード 4 種。
  • ISO 感度は 50〜400。
  • で、その ND フィルタも内蔵。G5 の置き換えなので当然と言えば当然か。
  • 内蔵フラッシュは ISO100 時ワイド端で 5m まで届くなかなか強力なもの。同調は 1/250 秒。
  • ストレージは CF TypeII スロット。FAT32 対応で 2GB 以上のマイクロドライブも使用可能。
  • ファインダは MiNOLTA DiMAGE A1 や DiMAGE 7 などと同じ可動型 EVF。23.5 万画素。視野率 100%。
  • バリアングル液晶は 2.0 型。EVF と同じく 23.5 万画素。

 とうとう Canon もコンシューマ機に自社の EF ハイエンドレンズブランドを投入してきました。レンズは G 系の F2.0 より暗くなりましたが、ワイド端 28mm の焦点距離を考えれば十分でしょう。
 なお画像処理エンジンは DIGIC で、EOS 1D MarkII に搭載された DIGIC II ではないようですが、DIGIC II はおそらく連写タイプである 1D MarkII 用にクロックアップなどのカスタマイズを行ったものではないかと推測します。つまりコンシューマ機にはオーバースペックな石ということではないかと。
 あと JPEG と RAW の同時保存ができるっぽい事とか、結局レンズリングはどういう操作ができるのかとかいくつか気になるところはさておき。
【追記】ちょっと待て!! この機種、UD レンズだけじゃなく蛍石使ってる!!!!111111
【さらに追記】サンプル出ました。早っ! これ見る限りでは髪の毛の解像とかかなり頑張ってますヨ! エッジ強調がそこそこかかってますがひどくはないです。レンズがいいんだなこれー。やっぱりアレだ、EOS KISS DIGITAL 作った会社だわココ。素直に感心しました。もうちょっと明暗差のあるシーンがあればダイナミックレンジが分かったんですが……。(情報元:はまり道さん)
【もひとつ追記】国内発表キタ。スーパーマクロ時は 90mm までズーム可能。拡大率は非常に大きい。

 

*1:Canon EF レンズのハイエンドブランド。L は Luxury(ぜいたくな)の頭文字。各種高級素材や最先端技術を盛り込んだ結果、非常に優れた描写力をもつとされる。L レンズは鏡筒部分に赤いラインが入っており、EF ユーザのステータスシンボルにもなっている。Pro1 の赤ラインはこちらの写真で確認できる。

*2:Ultra Low Dispersion の略。レンズには光を分解して収束させるという機能があるが、それの際にさまざまな弊害がともなう。弊害は「収差」と呼ばれ、大別して 5 種類に分けられる。これを定義したのが「ザイデルの五収差」。この五収差のうち、光の色情報が R/G/B で波長が異なることから発生する色ズレ(色にじみ)を「色収差」という。これを抑えるためには蛍石(けいせき)を使用するのが最も良いが、希少な鉱物であるため量産には向かない。そこでレンズメーカー各社が蛍石の代わりに ED レンズなどを採用したが、Canon は独自に UD レンズを採用した。ED にしろ UD にしろ色収差を抑える効力があり、ハイエンドレンズに使用されている。

*3:この機種に限らず 2/3 型 800 万画素 CCD を使用しているデジカメはたいていそう。どうも CCD の仕様みたい。